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>特集 大本山總持寺典座寮を取材
大本山總持寺典座寮を取材させていただいた。
神奈川県横浜市鶴見にある曹洞宗大本山總持寺。
本山の修行僧は、全員様々な役についている。「典座寮(てんぞりょう)」もそのひとつで修行僧や参拝客に出す食事を作っている部署である。静岡県藤枝市の観音寺住職、小金山泰玄老師は2001年から2008年までつとめ、現在は静岡県にある専門僧堂、可睡斎の典座をつとめていらっしゃる。「典座(てんぞ)」というのは寺の厨房の最高責任者のことである。
参拝客に出される「本膳」と呼ばれる精進料理。
本山に参拝すると出される「本膳」と呼ばれる精進料理は、参拝客のためのものである。修行僧の食事はこれと違い、ごく質素なものである。朝はおかゆ、昼は一汁一菜、夜は一汁二菜が基本。そのため、總持寺には修行僧の食事を作る「白字館典座寮」と、拝観者向けの精進料理を作る「三松閣典座寮」との2つの典座寮がある。
現在(取材当時)の寮員は12名で、「白字館典座寮」に6名、「三松閣典座寮」に6名配置されている。小金山老師は、この2つの典座寮の最高責任者ということになる。
「白字館典座寮」では、120名~200名程度の修行僧の食事を作る。「三松閣典座寮」では、500人~1000名程度の拝観者向けの精進料理を作る。
精進料理はほとんど手作り。外注もあるが、「この味で」と注文を付けての発注だという。
「全部手作りでは大変ですね」と言うと、「そんなことはない。やり方があるのだ。」と答えられたが、その「やり方」については教えて頂けなかった。修行を通して体で覚えて、初めて身に付くということだろう。
取材を受ける小金山老師 (右)
さて、精進料理がおいしいと評判の總持寺だが、以前は、「食事だけ」という観光客もいたそうだ。しかし、現在は、必ず總持寺を拝観してから、食事をしてもらうという。總持寺の雰囲気を味わってから、食事をして欲しい、という老師のお考えからだ。
小金山老師は、修行僧や料理教室の生徒さんに、「食べる人の事を考えて料理をしなさい」と教えているという。食べる人の味の好み、体調、そういうものを考えて味付けをするように指導しているのだ。だから細かい分量を教えないそうだ。
「味は多数決。だから食べた人の半分の人が「おいしい」といってくれたらそれは成功なんです」