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安倍七観音とは、鉄舟寺(久能寺)、霊山寺、平沢寺、徳願寺、法明寺、増善寺、建穂寺の7ヶ寺に安置されている千手観音菩薩のことである。この安倍七観音は、静岡市近郊では最も古い部類のものである。安置されていたお寺は、それぞれのお寺を中心として寺町を形成しており、大規模なものであったそうだ。
養老2年(718)、元正天王の18歳になる王子(後の聖武天皇)の病状が悪化した。様々に手を尽くしてみたものの、効き目が無かった。そこで、陰陽師に占わせたところ、「東の国に、楠の大木があり、今まさにその樹の寿命が尽きようとしている。樹は観音菩薩として刻まれ、人々を救済したいと願っている。」と言ったそうだ。天皇は、徳の優れた、行基菩薩という僧侶を駿河国へ下らせた。
行基菩薩は法明寺にて、巨大な楠と出会う。高さ約50メートル、直径約24メートルの大木であったそうだ。その楠を切り倒させようとし、村人に道具を少しばかり当てさせてみた所、切り口から血が流れ出した。行基菩薩は地面に伏して「私は、御上のお役目で参り、観音様としてお祀り致しますので、どうかお許し下さい。」と拝んだそうだ。そしていよいよ、楠を切り倒すと、行基菩薩は身を清め、一刀三礼し、七体の観音菩薩像を彫った。これを7つのお寺に安置し、21日間、王子の病気回復を祈願したところ、王子の病気は快方に向かったと言われている。この7ヶ寺が「安倍七観音の霊場」である。